島田荘司 on line
on line top Weekly Shimada Soji top
季刊島田荘司編集室の窓から 季刊島田荘司編集室の窓から
編集後記〜窓から窓から
管理人・T橋のツルカメ日記
第4回 T橋の、闘病だよ、全員集合!その3
「検査手術だ!疾風怒濤編2」
写真をクリック!大きな画像で見られます。
管理人・T橋のツルカメ日記
管理人・T橋のツルカメ日記
管理人・T橋のツルカメ日記
管理人・T橋のツルカメ日記
管理人・T橋のツルカメ日記
ちゃぷたー3
いよいよ「検査手術」の朝である。
手術の朝一番のしごとは浣腸。看護婦さんが朝の6時に部屋に来て、明るい声で「T橋さーん、浣腸しますからトイレにきてくださーい」と言う。
「T橋さん、浣腸ってしたことあります?」
「ないですよ〜。僕、いままで便秘したこと一度もないですから」
なんて会話をかわしながら、男子トイレへ。
どうするのかとオドドドしていたら、「はい、個室に入ってくださーい」と言われる。
看護婦さんも一緒に入ってくる。なんだなんだ、なにするんだ?!
「ズボンとパンツおろしてくださいね〜」と、浣腸を手に看護婦さん。
「こ、この格好のままですか?」
「そうよ〜、すこーし足開いて、お尻の力ぬいてね(ハート)」
うわーーーー、来た来た来た!!! なんだこの感覚は〜〜!!!!!
「2分は我慢して出してくださいね〜」と言い置いて、看護婦さんは個室から出ていった。よかった。ウンチするところまで見られるのかと思った。

が、突然冷え汗が吹き出し、吐き気がし、貧血のような状態が僕を襲いだした。
下のタイルがビショビショなるくらい汗が止まらない。ドアに頭をつけていないと、体が支えられないほどの気持ち悪さだ。でもここで看護婦さんを呼んでは、ウンチの途中であまりにもカッチョ悪い。僕は必死に出すべきモノをひりだし、個室から、フラフラと出た。あまりの顔色の悪さに看護婦さんは車椅子をだしてくれ、それに乗って部屋にもどった。
血圧は低下し、顔色は依然悪い。
そう、後で医者から聞いたが、どうも僕は浣腸に不向きな体質の人間らしい。時々そういう体質の人がいるそうだ。だって、便秘しないんだもん。全身麻酔でもなければ、浣腸なんて一生縁なしのはずだった。
もしかして、これじゃ手術中止かも・・・と思っていたら、担当の医師の一人が点滴を手に部屋に入ってきて、
「気持ち悪くなっちゃったんですかー、でも、この点滴すれば気分良くなりますからねー」と言う。
そう・・・ やっぱり手術はするのね(涙)。

部屋を出る時間が来た。
弟のせいで、頭のなかがをモーツアルトの「レクイエム」一色になった状態で、僕はキャスターに寝かされ、手術室に向かった。
手術室はBGMを流して少しでも緊張がとれるような配慮がされている。でも、そんなもので、緊張がとれるわけはない。
いつも病室で診察してくれる若い男女の担当医師達が、手術着に身を包んで、僕の到着を待っていた。みんな口々に「T橋さん、おはようございます」、「T橋さん、頑張りましょうね」と、笑顔で声をかけてくれ、一人一人僕と握手をしてくれる。心強くて、とても嬉しかった。
麻酔薬が点滴で流し込まれ、大きく深呼吸をして・・・その後、僕はなにも知らない。
ちゃぷたー4
「T橋さーん、終わりましたよ〜」、「T橋さーん、お疲れさまでしたー」という麻酔医や看護婦さんの声で目が覚める。そうだった、僕は手術をされていたんだ、とはっきり意識が戻った瞬間、傷口が痛み出した。えーーーーん、恐れていたことが・・・
この後、翌日の朝までは、うんうんうなりながら、ひたすら耐えるしかなかった。

翌朝、病室に戻り、酸素マスクをはずされ、一般の患者の扱いにもどった。痛みをこらえながら、「いつから普通に飯を食えるのか」と、セコイことを聞いたら、その日の昼からだと言う。こんない痛くて起きてご飯が食べられるのだろうか・・・ しかし、僕は残さず全部食べてしまった。手術で体力を消耗し、腹が減っていたのである。おかげで栄養剤の点滴はすぐにはずされた。
見舞いに来た母親が「まー、ほんとに、この子は小さい時から、頭は変だし、意気地なしの根性なしの痛がりですけど、胃腸や内臓だけは丈夫に生んどいたんですよ〜」なんて、医者や看護婦に話している。若い医者や看護婦はクスクス笑っている。
「うるせー、ババア!」と小さな声で悪態をついていたら、
「こらこら、そんなこと言っちゃダメよ」なんて、看護学生にたしなめられた。トホホ。

リハビリの日々である。肺にはまったチューブを抜かれてからは、とにかく立って歩くことが奨励される。尿導管を入れられ、尿袋を自分でもったまま、廊下で歩行練習を始めた。看護学生の女子学生がいるときは、「ねえ、そこまでデートしようよ!」と声をかけ、一緒に歩いてもらう。「尿導管つけた格好で、渋谷でデートしたら、すっごく目立つかも〜」なんて、とても明るく話す人で、こちらまで気分が爽やかになる。感謝。
うっとしい尿導管がとれた日はうれしかった。意気揚々と部屋からでると、若い看護婦さんが、「T橋さーん、オチンチンとれたんですね〜」と、声をかけてきた。
「とれたのはオチンチンじゃねーよ、チューブだよっ」と、心のなかでは思いながらも、「いやー、どうも〜」なんて言ってる自分が悲しくて嬉しい。

少しずつ歩く距離を伸ばしながら病院内を探検する。
大きな病院だと、なかに床屋がある。それだけ長患いのひとが多いのか。
外の空気を吸いたくて、面会室のベランダにでてみると、外はいつのまにかすっかり秋だった。まだ透明度の高い水をはられたプールが、もの悲しく見えた。
もうすぐ、とりあえずの退院だ。
両足で立てる幸せを噛みしめながら、そっと秋空を仰ぎ見た。

前回へ           つづく

〒160-0022 東京都新宿区新宿1-25-13 原書房「季刊島田荘司」係
mailto:kikan@harashobo.co.jp

(C) Soji Shimada, Riho Sachimi
本サイトの記事、写真、図版等の無断使用・無断転載を禁じます。


なんでも大募集! 編集後記〜窓から窓から 怒濤のお知らせ伝言板

Copyright 2000 Hara Shobo All Rights Reserved