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編集室の窓から
島田荘司のデジカメ日記
第271回
島田荘司のデジカメ日記
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7−4(火)、UFO大通りと、カラオケ・ミーティング
まず夕刻、講談社S村さんから連絡があり、8月末刊行の御手洗もの「UFO大通り」の、岡さん作の装丁デザインがあがってきたからお見せしたいというので、駅前ルノアールで会う。
このデザインは、S村さん感激の、大変な意欲作だった。S村さんいわく、「こんなデザイン、自分は見たことない、いやー岡さん、今回は本気出しましたねー」、というほどのものだった。
これは本当に凝ったもので、通常の硬表紙の上にTP加工カヴァー紙を巻くが、この上にさらにトレペふうの半透明質感の、硬いプラスティック素材を巻く。この半透明のプラスティックに、タイトル、著者名、さらにはちょっとした幾何学模様や、煙ふうの形態が、白とスミで印刷される。
これだけでも大変に凝っているが、下のTP加工のカヴァーには、「UFO大通り」のタイトルや、ストーンサークルふうの幾何学連続模様、さらに著者名が、型押ししてある。つまり凸状にできあがっている。さらには表一の端の縦方向上下、袖の部分と背中に、全面点々、つまりドット状に型押して蛇プリントふうに仕上げ、これによってタイトルを凹状に残して浮かばせる、そういうとてつもないほどの意欲作だった。
しかも岡さんは、このトレペふうプラスティック素材に印刷する幾何学模様や、煙ふうの形態を、ありものの図形で流用せず、カメラマンに依頼して、イメージ通りの形態を作りたいと言い、そのための追加費用の捻出がもし講談社でむずかしいなら、自分の報酬の内から出す、とまで言ったらしい。
この話にはびっくりした。そして自分がデザイナーでも、本気になったならそうしたことを言うだろうと思い、この熱意は本物と感じて感動した。岡さんという人は、やはり本物を持った人なのだと思う。
この日は、トレペふうの素材までは用意できなかったので、下のTPのカヴァー紙の印刷形態がまず見本として用意され、これはそのまま実現するわけだが、そしてその上に巻く、半透明なトレペふう素材に印刷するデザインが、通常の白紙に印刷されて見本として付いていた。その上でさらに、これを巻いた際、実際に見えるであろう感じを想定して表現した見かけ上の印刷見本までが付いて、だから印刷物は都合3枚ある。
下の紙はセピアふうの色あい、その上がトレペふうの半透明素材だから、上からの見え方は、セピアに白を混ぜたふうの淡い色あいになり、これが淡いオリーヴグリーンの、実によい感じの色調になっていた。
さらに凝ったことには、もしもこの計画が、コスト等の関係で実現しなかった場合、通常のように硬表紙の上にただTP加工のカヴァー紙を1枚のみ巻くことになるが、その際には、カヴァー紙のデザインはこのようになる、とさらに1枚、別紙が用意されていた。だから見本は4枚で、まったくいたれり尽くせりのプレゼンであった。
S村氏は、岡さんとの仕事ははじめてらしかったが、この誠意的な仕事ぶりと、示される採算度外視の意欲に、すっかり感激してしまっていた。そして、どんなにコストがかかろうとも、なんとしてもこのトレペふう素材使用の線で編集会議を通す、編集者生命を賭けてでも実現する、と意気込んでいた。
1人の才能の誠意があれば、それがさらに別の人の熱意を呼んで、事態はよい展開を見せるものだ。今回、岡さんの情熱で、事態は非常にうまく転がっていた。

それから1時間遅れで、SSKの面々が、三々五々ルノアールに集まってきた。そろそろこちらが離日なので、最後に食事とカラオケの会をやろうという計画になっていたのだ。ヤフー・インタヴューで知り合った、藤原さんも来てくれた。
S村さんは、自信の装丁を女性陣に見せ、「どうです? 可愛いでしょう? このUFOの絵、バッグから取り出したり、ちょっと手に持っていたりする際、おしゃれで可愛いでしょう」、などと言って、意見を求めて廻っていた。007氏から、「いや、男が持っていても格好いいですよ」、などと評価してもらい、大変喜んでいた。
それから吉祥寺の街を歩いて、東急デパート斜め前のシダックス吉祥寺本町クラブというカラオケ店に全員で繰り込み、あれこれ食べものを取って、まずは腹ごしらえをしてから、自慢の喉を披露し合うという展開になった。これはA井さんが、シダックスの広い部屋を、前々から予約しておいてくれたのだ。
この日の聴きものは、何といってもその光文社・A井さんと、講談社・S村さんのデュオによるモーニング娘と、常日頃クールで冷静な007号の、「リンダリンダ」の熱唱、さらには過激なジャンプであった。
特に後者は、生涯もう2度と観られないような貴重な体験で、みなの熱心なおだて方もよかったのであろうが、会社でよほどよいことでもあったのであろう。この曲はMatthewさんの十八番なのであるが、「Matthewさんがいない今宵、リンダリンダが歌える者は君しかいない!」と、熱心に口説いていたA井さん、弁護士志望の西澤氏の弁舌は功績大である。歌い終わって、「いやぼく、やる時はやります」とつぶやく007号も、実に頼もしかった。
講談社・光文社合同によるモーニング娘も、充分にお金が取れるような出来で、キーが高すぎ、S村氏のかすれて苦しげなシャウトふうの声を誘導した局面も素晴らしく、彼らがいる限り、わが出版文化も末永く命脈を保つであろうと、実感させられた宵であった。
このモーニング娘の大ヒットソング、もうA井さんから5万回も聴かされているのだが、まだタイトルを知らない。しかしこの歌詞にある通り、ニッポンの未来も、ミステリー出版の未来も、世界がうらやむバラ色なのであろう。今はそう固く信じている。
しかしこうしたエポック・メイキングな歌声に隠れがちだったが、女性たちの歌声もいつも通り安定し、美しいものがあった。藤原さんの歌もとても上手であった。山田さんの歌声も、選曲のセンスを含めて素晴らしかった。チャトさんの歌声も、瑛子さんの声も大変見事であった。宮田さんの赤木圭一郎も、これは貴重な聴きものである。西澤さんもなかなかうまい。芸達者なSSKの面々、いずれチケットをnet発売し、チャーリティ・コンサートなど開きたいくらいのものであった。
山田さん、チャトさんは、ぼくの隣にいたので、近すぎて写真が撮れていない。いずれまた、彼女たちの魅力も公開する機会があるであろう。
 
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