島田荘司 on line
on line top Weekly Shimada Soji top
編集室の窓から
島田荘司のデジカメ日記
第261回
島田荘司のデジカメ日記
島田荘司のデジカメ日記
島田荘司のデジカメ日記
島田荘司のデジカメ日記
島田荘司のデジカメ日記
島田荘司のデジカメ日記
島田荘司のデジカメ日記
4−20(木)、佐藤美術館に、REAL POINT展を観にいく
千駄ヶ谷の佐藤美術館に、「リアル・ポイント展」を観にいった。ここに、石塚桜子さんの作品が展示されているからである。
1人で行ってもなんだと思い、先日「島田荘司大辞典」のミーティングに集合してくださった面々の内の、東京組に声をかけた。千駄ヶ谷駅の改札口前に集合して、みなで徒歩で佐藤美術館に向かった。集合の時点から桜子さんが参加してくれ、われわれを美術館まで案内してくださった。千駄ヶ谷駅から坂を下っていくこの道行きが、なかなかにほどよい距離で、心地よい春の散歩になった。
「リアル・ポイント展」という、やや思想テーマをにじませるふうの名称は、桜子さんが着想し、提案したもののようである。これを受け入れての「リアル・ポイント展」は、今年で2回目の展覧会になる。作品は、桜子さんのものも含めてどれも意欲的なもので、中では、屏風絵の衝立を解体、展開したふうの現代屏風絵があり、この3D作品の発想に、個人的には大いに興味を引かれた。筆致はぼくなどの好みとは違うのだが、この論理的で冷静な破壊性、同時に未来発展的な着想には、大変共感的な気分なってしまい、しばし見入ってあれこれ考えた。
というのも日本画を思う時、時にぼくは円山応挙や、尾形光淋のことを考えるからだ。一般に日本の絵画は保守的、形式的で、冒険をせず、どれも家元制度的で、大家ともなれば政治的安泰の内に逃げ込んで、威張ったり、安穏としていたように考えられているが、まったく違う。むろんそういう人もいたろうが、たえば幕末の画家、円山応挙などは、当時世に出廻りはじめたレンズを通して鑑賞させる「カラクリ絵」を多数制作したり、襖をさまざまな位置に置いても、作中の松の枝ぶりが連続して見えるように構図を計算した襖絵、あるいは、わざと床の間に掛けられないほどに長く作った掛け軸に描いた、大滝と滝壷の絵など、3D発想のものが多く残っている。これは床に平らに延べることになる下端部分に、滝壷部分が来る。
形式にとらわれず、自身のフィールドの画板までを壊して、あらたな空間に飛び出そうとするような意欲的な試みでは、むしろ古の日本画家の方に冒険家が多い。応挙に比せば、ピカソやミロの方がむしろ安全裏に仕事をしている。
けれどこの展覧会では、桜子さんの絵は中心的な位置を占めていて、訪れる観客たちの目を引いていた。彼女の出品作品は6点で、以下にすべてを紹介してみる。

『エレキ・エコー』  100号、油彩、キャンバス。2006年制作
『アライブ・リポート』 80号、ミクストメディア、コラージュ、キャンバス。2006年制作
『覚醒』        30号、油彩、キャンバス。2005年制作
『深森のカオス』   25号、油彩、キャンバス。2005年制作
『夜行』        小品、コンテ、アクリル、紙。2006年制作
『ローアングル』    小品、コンテ、アクリル、紙。2006年制作

作品のそれぞれについて、桜子さん自身がわれわれに詳しく説明してくれたので、この内容も以下に紹介してみる。
『エレキ・エコー』は、かつて音楽スタジオを借り、エレキのベースギターを大音量で弾いた際の体感を思い起こしながら描いた。その大音量に、揺るぎない自己を投影像したいと思った。
『アライブ・リポート』は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に出てくるワンシーンに、「ぼくはみんなのためなら、サソリの火に百ぺん灼かれてもかまわない」という言葉があり、これから受けた感銘を絵画にした。
『覚醒』は、絵の中の人物に、眼が描かれていないのに「覚醒」というタイトルを与えてみた。これは人の精神、心の現われ方、意識の立ち上がり方をテーマに、制作したということだった。
『深森のカオス』は、瑞々しい感覚の定着をめざして創作。小品2点に関しては、それぞれ自由に感じて欲しい、ということだった。

それから、さらに朗報が入った。2006年で15回目を迎える国際アートフェスティヴァルというものに、桜子さんも参加しないかという誘いが入ったそうである。今年、ロスアンジェルスで開催される『15th 2006 L.A国際アートフェスティバル』というもので、参加国はアジア、ヨーロッパ、北南米、中東からの40カ国。参加アーティストは150人で、日本人は桜子さんを含めた20人だそうである。1人1点なので、桜子さんは『万有引力』、20号を出展することにした。
会期は、2006年9月23日より1ヶ月間の予定で、展覧会は、LAの3つのギャラリーで同時に行われる。

J.A.C.C. ドイザキギャラリー。   オープニング、9月23日(土)、1時〜5時。
ASTO Museum アストギャラリー。オープニング、9月23日(土)、5時〜9時。
A.G.C.C. ファインアートギャラリー。オープニング、9月24日(日)、1時〜4時。

石塚桜子は、だんだんに日本を代表する画家になりはじめている。楽しみなことだ。
 
デジカメ日記 バックナンバー

Copyright 2000 Hara Shobo All Rights Reserved