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島田荘司のデジカメ日記
第212回
島田荘司のデジカメ日記
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6−1(火)、TTZM、到着。
アメリカの家に、「占星術殺人事件」の英訳版、「The Tokyo Zodiac Murders」が10冊、ダンボールの箱に入って到着した。なかなか感無量だった。この本の英訳は長い間の夢だったし、ずいぶん苦労したからだ。
非常に美しい表紙で、これは大変気に入っている。このデザインも、1度駄目出しをした。以前のものも悪くはなかったのだが、イギリスふうの窓辺に下がる白いレースのカーテンを写したもので、日本、東京、占星術、猟奇殺人、といった要素とはまったく無縁の上品な画像であり、ボストンあたりで起こった、老婦人の宝石盗難事件の謎、などを連想させるものだった。だからそのように感想を言って、これもいいけれど、さらによいものが考えられるのでは、と意見を言った。そうしたら、白壁の蔵の前に張り出した桜の枝、日本の春の宵の景色、といった見事な画像が帰ってきたから、一発で気に入った。
これはIBCパブリッシングという日本の洋書専門の出版社が作ってくれ、これから日本国内の洋書専門店、日本書店の洋書コーナーで販売する。米国での流通に関してIBCは、2005年にサンフランシスコとLA在住の米小出版社をM&A(買収合併)し、その後ここを通じて米国内の販売流通ルートに乗せる、という心積もりでいる。しかしこの買収は成功しない確率もあり、その場合はTTZM販売の権利を米国の出版社に売却する、という計画になっている。したがってアメリカでは、とりあえずは日系書店に置かれ、ない場合はここで取り寄せもできるが、米国の書店に置かれるのは2005年以降となる。
この英訳プロジェクトには英訳者、編集者、英米それぞれからのチェッカーなど、大勢のスタッフが関わっている。その中でもバーミンガムから来た英国人、スチュアート・ヴァーナム・アトキン氏の情熱は特筆もので、まことに頭が下がった。2004年4月頭から始まったわれわれのCCメイルでのやり取りを、以下に少しご紹介してみよう。
彼の我の強さ、自信家ぶりは、異様ともいえるくらいで、ぼくもしかさんも、都度なかなかあっけにとられた。こういう様子は日本人にはなかなか見られないが、しかし過去の自分を思えば、思い当たらないふしもないでもなかったから、好ましくも感じた。
このメイルでの議論の以前に、われわれは東京で直接会っているが、互いに軽口の類は相手の国の言葉でやっても、仕事となると自国の言葉でないと確信が持てない。そこで真剣な内容なら、英語と日本語でのやり取りになった。こちらが日本語で話せば、彼はそれを読んで英語で返してくる。こちらもそれを読んでまた日本語を返すといった具合であった。
チェッカーとしての彼が、自分の編集上のポリシーを具体的に提出し、こちらがそれに対して考えを戻したあたりから始めてみようか。

島田荘司です。
アトキンさんよりのメイル、受け取りました。ありがとうございました。
編集のポリシーに関しては、すべて同意できるものでした。ポリシーに関して、対立するものはありません。以下では細かい部分に関して、一応私の意見や考えを述べます。
アメリカ人のチェッカーよりも、ロス&しかさんの英訳文の方に、アトキンさんは納得できるということですね。チェッカーがアメリカ人だからでしょうか。確かにこちらでは日傘もアンブレラと言われたりして、抵抗を感じることはありますね。チェッカーはややラフ、そして、採点するような、上から見る気分になっているのでしょうか。
マッケンジーさんのもので行くのはよいことと思います。アメリカ映画の脚本が、あちこち削られすぎていて、あらすじになってしまっているなと感じることが割合ありますが、あまり削りすぎるのは味を損ない、よくないですね。
ユーモアは、、こういった推理ものの場合、大切な要素と思います。削らない方がいいですね。

★、My basic editing policy has been to produce a book that is very readable and makes sense. If the mystery remains a mystery to the reader, we have failed! In some places where I found the story line very difficult to understand, I have altered the text. For example, the explanation of the one-thousand-yen-bill trick didn’t make sense. I’ve tried to clear that up and will also suggest how to make the illustration clearer.

これは同感します。私も自分の文章を推敲するおりは、文がよく流れるように、読みやすいようにすることを第一にしています。1,000円札のトリックはこの話の要なので、ここで「なるほど!」と即座に思えないなら、この作品が面白いと感じないと思います。理解に時間がかかるのもまずいですね。
そのため、一目瞭然となるように図も入れました。ここは絶対に解りやすい必要がありますね。英語版では図はどうなのでしょう。解りにくいなら、図を入れる方がよいと思いますよ。

★、Title
Following Murata-sans’ comments, I have been rethinking this. I think Shika’s suggestion may be the best: The Tokyo Zodiac Murders It tells us a lot about the kind of book it is in a short space! I was originally favoring ‘Astrology’ over ‘Zodiac’. However, ‘Zodiac’ is shorter and punchier and its long ‘o’ goes well with ‘Tokyo’!

「トウキョウ・ゾディアック・マーダーズ」というタイトルは、とてもよいと思います。要を尽くしているし、言われてみればこれしかない、という感じがします。日本人や日本名については馴染みがなくても、みんなトウキョウは知っているでしょうから、惹きにもなるでしょうね。さらに韻が踏まれていてよい感じの響きなら、言うことはないでしょう。

★、As an experiment I have used that title during the story to give us some idea of how it looks. If we can get away without a sub-title such as ‘A Macabre Whodunit Set in 1930s Japan’, all the better!

帯などに、こういうサブタイトルを入れるのはよいのではないかと私は思いますが。この作の売りは、「究極のフーダニット」ということでしょう。こういうフーダニットによる挑戦は、ミステリー史に前例がないということです。タイトルとサブタイトルの両方が読者の目に入っても、重複はしないように思いますが。

★、Names
Names are always a problem with translations from Japanese. If you don’t like my policy, please tell me. It is not so difficult to change things back. ?I have used given name followed by surname (Western style). I see no reason to keep the traditional Japanese style since this is a 20th century story and we anyway need to use given names a lot for all the Umezawa family members. Readers will find the Western order easier, I’m sure.

よいと思います。賛成です。

?Shall we use Japanese style for the pre-Meiji names: Jippensha Ikku, Takeda Shingen, etc?

これはむずかしい問題です。当作にこれが出てきていなかったら、保留としたいですね。出てきていて、決めなくてはならないなら、他と統一でよいでしょう。

?Generally I have used ‘Heikichi’ rather than ‘Umezawa’, since the whole story is about the Umezawas. However, characters like Mrs. Kato sometimes refer to him more coolly as ‘Umezawa.’ ?On the whole, the use of ‘Mr.’ or just surnames in connection with Ishioka and Mitarai seemed strange to me. This is a difficult one. I notice that the Japanese uses ‘?kun’ a lot in their conversations and that would suggest they are very close friends. I have tried using ‘Kiyoshi’ and‘Kazumi’ all the way through when they talk to each other or when Ishioka refers to Mitarai in the narration. The use of surnames is, of course, possible (especially if Soji wanted it to sound more like Holmes and Watson) but I suspect Western readers might find given names more acceptable. ?Of course ‘Mr.’ is retained in formal situations where other people are present. (“Mr. Ishioka, could you make some coffee?”) ?In the case of Emoto, we don’t know his given name, so I’ve left him as Emoto. ?I also retained ‘Mr. Takegoshi’ when Kiyoshi is explaining the murders to his daughter (for politeness) and when Taeko talks about him in her letter.

これは、そういうことなら、「キヨシ」と「カズミ」で通すのがよいと、私も思います。2人の距離が近く、記述者とキヨシの距離も近く、同時に露出頻度が高くて読者も2人を近く感じるなら、ファースト・ネームで行くのが妥当と思います。
一方、Mr.Ms.を付けるくらいに距離があるならば、これはファミリー・ネームで行くと、そういう法則性でいいと私も思います。
ただホームズ&ワトソンは、何故シャーロック&ジェイムズにならなかったのでしょうね。ミタライは子音の配置がMysteryと似ています。その意味でも、また後続作のためにも、ファミリー・ネームの音の印象は、読者に与えておきたい気はしていますが。

★、Chapter Titles

これに関しては、やはり小タイトルを入れた方が魅力的になったかな、と感じます。

1,Azoth.
2,Forty Years On.
6,Latitude & Longitude
16,The Mannequin
17,The Philosopher’s Walk
18,The Storm
20,The Invisible Woman
21,Vanishing Point
24,The Roll of the Dice

これらはとても詩的な字面で、チャプターの文字と数字の下にこれらのアルファベットが見えた時、素晴らしい効果をあげていると感じます。しかし中には、格別言わなくてもよいのでは、というものも混じっているような気はします。

3,Suspects
4,Another Murder
8,Speculation
9,Homes & Watson
10,Suicide

これらは、ミステリー好きにとってはあまりに見馴れ、聞き馴れた言葉なので、当作のストーリーを、よくあるあれか?!と感じさせ、凡庸に見せる危険もあるかなと感じました。

5,Six More Murder
7,A Police Confession
11,Kyoto
12,Nagoya
13,Osaka

このグループはまずまずと感じます。これから訪ねる場所を示すのは、詩的なフィーリングの提供とはまだ別の意味がありますね。

10,Bullet Train

はとてもいい言葉ですが、このように速度の速い列車が、事件に関して何らかの役割(たとえばクロフツの『樽』のような)を持っているかのように聞え、インチキにならないかな、と不安を覚えます。

Mr.Kato
Mr.Yoshida
19,Sunset

は、特に19などはダブルミーニングですし、これでいけないとは思いませんが、やや散文的、説明的であり、別の詩的な表現に置き替えられるのでは、と感じました。吉田さんは天才的、悪魔的な人形作家とまずは見えるわけだし、サンセットはオレンジ色をした終幕のカーテンですね。加藤さんも、短くない人生を、隠れるように孤独に生きてきた女性ですね。
これらの文字が入ってストーリーの流れを壊すとは思いませんが、すぐによいタイトルが浮かばないチャプターの場合、無理にしぼり出して、かたちを統一しなくてもよいのではと感じました。タイトルがあるチャプター、ないチャプターが混在していても、私はかまわないように思います。

★、Thought Bubbles
In a few places where Ishioka’s head starts whirling, I have added italic‘thought bubbles’. Tell me if you don’t like them. The idea is to make his thoughts more immediate.

これはよい考えと思います。

★、Fonts
The actual fonts will be decided with the designer later. For this edit I have used five fonts:
1. Prologue/Main text Times New Roman
2. Heikichi’s Note Verdana
3. Bunjiro’s Note Courier New
4. Entr’actes Lucida Handwriting
5. Taeko’s Letter Arial

これもよい考えと思います。各文を性質によって分類し、フォントを使い分けて読者に提示するわけですね。丁寧な仕事になっている、よい提案と思います。また読者に挑戦し、深い思索や推理を求める小説の性格に、よく合っていると感じます。

★、Numbers
Unchanged
?Below a hundred?spell out
?Rounded numbers (‘five hundred’) spell out; otherwise?numerals

Dates
January 26th, 1886.

Longitude and Latitude
I think changing (30') to ’30 minutes’ is confusing. Let me know if you think this is odd.

Times
2:00 ? 2 p.m.
10:00 ? 10 a.m.
10:30 ? 10:30 p.m

これはちょっと私には判断できませんね。おまかせします。もし意見言えと言われるなら言いますが。
以下の単語に関しても同様ですね。アトキンさんの考えに納得します。

Meiji Village ? Meiji-Mura

このひとつだけ、Meiji−Mura Village とした方が、解りやすいかもしれませんね。つまり日本語+日本語の一般分類名詞のような場合ですね。Iwo−Jimaは、映画にもなっていたから、アメリカ人には島だと知られていますね。よってこれでいい気がします。Yahiko Shrineも、このままでいい感じもしますね。Yashiro−Jinjya Shrineとすると、長くなりすぎるからでしょうね。
法則性を、論理的には決められないですね。読んだ際のリズムの調子よさで、決めてもいいのではないでしょうか。長い時間のうちに呼び方が決まってくるのは、そういうことによっていますね。

というわけで、ありがとうございました。アトキンさん、再会の機会を楽しみにしています。
               4月2日         島田荘司。

一項目のみ、追加で考えを述べます。

★、Fonts
The actual fonts will be decided with the designer later. For this edit I have used five fonts:
1. Prologue/Main text → Times New Roman
2. Heikichi’s Note → Verdana
3. Bunjiro’s Note → Courier New
4. Entr’actes → Lucida Handwriting
5. Taeko’s Letter → Arial

これもよい考えと思います。各文を性質によって分類し、フォントを使い分けて読者に提示するわけですね。丁寧な仕事になっている、よい提案と思います。また読者に挑戦し、深い思索や推理を求める小説の性格に、よく合っていると感じます。

よい考えと思います。これは変わりませんが、捕捉ですが、1行単位でフォントが変わるようなやり方、つまり石岡のバブル的な思いつきが1行入ってくるような場合に、この1行のみはイタリアンにする、というまでのことをすると、少しうるさくなって、読みづらくなるような気もしました。フォント変えるのは、大きなグループ単位でよいのでは、というのが私の意見です。
               4月2日。       島田荘司。

これに対してアトキン氏は、是非各チャプターのすべてに小タイトルを付けたい、自分は小説を読んでいる際、小タイトルでいつも楽しんでいるから、と言ってきた。
これはぼくの考えと少し違った。ぼくは全体をいくつかの章に大分し、これにのみタイトルをふっておいて、その配下に属するかたちになる各チャプターは、むしろタイトルなしの方がうるさくないのでは、と考えた。そこで全体を8つに大きく分け、その下に小さなチャプターを複数従属させる立体構造を作ってみた。

島田荘司です。
メイルいただきました。ありがとうございます。
小タイトル入れるならすべてに、という考え方はよく解ります。そこで私も少し考えて、以下のようなアイデアを得ました。もう1度全体をバラし、文章の性格から8つのグループに分けて、この8つのグループに、まずは中タイトルをしっかり付けるというのはどうでしょう。構成のし直しですが、私の構想では、このようにする方が、全体がすっきり整って感じられるのです。
そうなると、@〜Gまでのチャプターでは、必ず中タイトルが必要となり、タイトルという考え方に必然性が出ます。これが受け入れられるなら、是非この中タイトルをまずは考えてみてください。
その次に、これの配下になる各チャプターは、タイトルなしの数字だけでもよいように今は感じるのですが、入れてもよいと思います。またこのようにすれば、小タイトルのあるものとないものが混在しても、以前の案の時よりはバランスの悪さが少なくなるように、私は感じます。
しかしこういう構造にしても、すべてに小タイトルを入れたいという気持ちはよく理解できますので、それならそれでもいいかと思います。その場合、私もさらに考えます。
@〜Gは、ここでは数字をふっていますが、もしこのやり方をするなら、頭に数字は入れなくてもよいかと思います。この考え方はどう思いますか? 意見を聞かせてください。

CONTENTS

Prologue

@. Azoth

A、Forty Years On The Suspects.(2)
1. (2)
2. (3)
3. (4)
4. (5)
5. Latitude & Longitude(6)

B、A Police Confession(7)

C、Speculations Again
1. (8)
2 (9)
3. (10)

D、The Doll(Azoth) Getting the Soul
→あるいは、Azoth追跡、またはただ「追跡」
1. (11)
2. (12)
3. (13)
4. (14)
5. (15)
6. The Mannequin(16)
7. The Philosopher’s Walk(17)

Entr’acte

E、The Storm
1. (18)
2. (19)

Entr’acte

F、The Vanishing Point
→あるいは、40年の時の彼方から、といったふうのもの。それとも単に「解決」、「解答」とか。
1. (20)
2. (21)
3..(22)
4. (23)

G、The Invisible Woman..(24)
→Womanというと、目次を見た時点で犯人の姿に見当をつけられそうですね。性別のない透明人間という方がよくはないでしょうか。あるいは「Azothの声」、といったふうのものとか。

中タイトルはただ単に「Azoth」、「推理1」、「推理2」、「追跡」、「解決」、「Azothからの声」、などとやっておいて、小タイトルに詩的なものを並べるという考え方もあり得ますね。
                  4月4日、       島田荘司。

通常、日本の編集者ならここで引き下がるのであるが、アトキン氏のジョンブル魂に、ここで火がついたようだった。頭を徹底して絞り抜き、すべての小タイトルに、考えぬいた選り抜きのタイトルを付して戻してきたのであった。言いだしたら引かない男で、こと英文のミステリーなら、英国人でシェイクスピア研究者の自分こそはホームズである。他者にとやかくは言わせない、と言わんばかりの勢いであった。また実際、この時彼が考えたタイトル群は見事なものであった。

My dear Watson,

Thank you for setting me such an intriguing three-Mild-Sevens-and-a-glass-of-single-malt problem yesterday regarding the divisions of TTZM.

Fortunately,I was able to find a possible solution, simply by applying my mind to two vital clues that we already had in our possession but had stupidly overlooked.It was all simply a question of theatrical magic waiting to be revealed behind the curtain!

As usual, we were led astray by the numbers:
2 (Entr'actes)
3 (Parts)
8 (Sections)
24 (Chapters)

But, as you will see from the enclosed file, the real numbers are 4, 5 and 20.

Which clues, you may ask?

The first was Arashiyama -- Storm Mountain -- Arashi -- 'The Tempest' -- The Storm -- 'King Lear' -- yes, Shakespeare!

The second was the Entr'actes. After all, what use is an "entre-acte" if there are no "acts" to go "between"?

I'm sure you will understand everything now. Time for a cup of Turkish coffee and some violin practice.

Please see the file for details.

Yours, etc.

S.H.

P.S. I was also pleased to receive word from our colleague Mr. Murata in Tokyo that the title has his full approval.

Sherlock Holmes
221B Upper Baker Street,
London

THE TOKYO ZODIAC MURDERS
A Tragic Tale of Mystery & Magic
in 5 Acts
by Soji Shimada

Herewith the possible solution!

I enclose below the CONTENTS and DRAMATIS PERSONAE for our mystery drama!

Sherlock H.

CONTENTS

Foreword (by Ishioka)

Prologue (1): AZOTH

ACT ONE: THE UNSOLVED MYSTERY, 40 YEARS ON

Scene 1 (2): Footprints in the Snow
Scene 2 (3): The 12th Painting
Scene 3 (4): A Vase and a Mirror
Scene 4 (5): Poisoned Fruit Juice
Scene 5 (6): Latitude & Longitude

Entr'acte (7): A Police Confession

ACT TWO: MORE SPECULATION

Scene 1 (8): A Little Magic
Scene 2 (9): A Rude Visit

Entr'acte (10): Bacteria in the Bullet Train

ACT THREE: IN PURSUIT OF AZOTH

Scene 1 (11): Moves on the Chess Board
Scene 2 (12): A Profanity
Scene 3 (13): Crossing the Moon
Scene 4 (14): The Riverbank
Scene 5 (15): The Doll-Maker
Scene 6 (16): The Mannequin
Scene 7 (17): The Philosopher's Walk

Entr'acte: Message from the author

ACT FOUR: THE STORM

Scene 1 (18): The Tea House
Scene 2 (19): The Roll of the Dice

Entr'acte: Another message from the author

ACT FIVE: MAGIC IN THE MISTS OF TIME

Scene 1 (20): The Invisible Killer
Scene 2 (21): The Vanishing Point
Scene 3 (22): The Basic Structure
Scene 4 (23): A Knock on the Door

Epilogue (24): THE VOICE OF AZOTH

Dramatis Personae

1936:
Heikichi Umezawa Artist
Tae Umezawa Heikichi's first wife
Tokiko Umezawa Heikichi & Tae's daughter
Masako Umezawa Heikichi's second wife
Kazue Kanemoto Masako's daughter
Tomoko Murakami Masako's daughter
Akiko Murakami Masako's daughter
Yukiko Umezawa Heikichi & Masako's daughter
Yoshio Umezawa Heikichi's brother
Ayako Umezawa Yoshio's wife
Reiko Umezawa Yoshio & Ayako's daughter
Nobuyo Umezawa Yoshio & Ayako's daughter
Yasue Tomita Gallery owner
Heitaro Tomita Yasue's son
Bunjiro Takegoshi Policeman
Genzo Ogata Factory owner
Tamio Yasukawa Craftsman
Toshinobu Ishibashi Painter
Motonari Tokuda Sculptor
Gozo Abe Painter
Yasushi Yamada Painter
Kinue Yamada Poet

A crazy man, mannequins, etc.

1979:
Kiyoshi Mitarai Astrologer, fortune-teller and self-styled detective
Kazumi Ishioka Illustrator and amateur detective
Emoto Kiyoshi's friend
Mrs. Iida Bunjiro's daughter
Mr. Iida Policeman
Fumihiko Takegoshi Policeman, Bunjiro's son
Mrs. Kato Tamio Yasukawa's daughter
Shusai Yoshida Fortune-teller & doll-maker
Heitaro Umeda Theme park employee
Taeko Sudo Shop owner

Assorted townspeople, tourists, waitresses, geisha, streetcar operators, mannequins, dog, etc.

これに関して、しかさんはやはりぼくの考えに近いようで、悪くないけどちょっとデコラティヴにすぎるのでは、と心配してきた。

先程編集者からメイルで最新の章タイトル案、受け取ったんですがどんなものでしょう??? 私は八つの中タイトルがしっかりしてれば、各章タイトルは不要だなと思っていたんですが……。特に、凡庸な小タイトルが混じって全体を不揃いにするぐらいなら。
最新案、演劇ふうの仕立てになっていて、ちょっと圧倒されました。編集者のただならぬ気合だけはメラメラと伝わってくるような……。はからずも「斜め屋敷の犯罪」に似たスタイルになっていていい感じ、と思う自分と、ちょっとデコラティヴすぎるんじゃないの、と感じる自分。本づくりってむずかしいですね。

これはまったくの同感だったのだが、シャーロック・アトキン氏の頭脳がここまで燃えあがってしまっていては、もはや議論はむずかしいと思ったし、実際小タイトルは綺麗なものが並んでいて、感心してもいた。そこで、ここはもうこれで行ってもらおうと思った。

島田荘司です。
いやはや、これはすごいですね! たいしたものです。アトキン−ホームズさん、お疲れ様でした
すべてに小タイトルつけたのですね。ひとつとして月並みなものはなく、すべて綺麗なものです。これでパーフェクトでしょうね。
Entr’acte;を、このようにして通して出していくのも面白いアイデアですね。非常に綺麗な、俯瞰的な構図になりました。よいと思います。しかし前半の二つ、フォントはどうしますかね。後の二つと同じにはできないでしょうね。
ともあれ、私としてはすべて理解しました。異存はありません。これで行っていただきましょう。

しかさん、下のフレーズがよく理解できません。これは彼は、何を言わんとしているのでしょうか。日本語で教えていただけませんか。

Which clues, you may ask?

The first was Arashiyama -- Storm Mountain -- Arashi -- 'The Tempest' -- The Storm -- 'King Lear' -- yes, Shakespeare!

The second was the Entr'actes. After all, what use is an "entre-acte" if there are no "acts" to go "between"?

              4月5日、         島田荘司。

そうしたら、少し冷静になったアトキン氏からこんなメイルが戻った。

Dear Soji,

I am delighted you liked the new solution! I shall think about the question of the fonts over another glass of single malt!

Yours, etc

S.A-H.

しかさんからはこんなメイルが来た。

荘司先生

あの案でGOなのですね!!! キャー
もうどなたかが返信なさってるかもしれませんが下の部分↓

<(解決案が浮かんだことに対して)何を手がかりにしたのかというと、まず嵐山、これは嵐の山だから、テンペストやリア王を連想した。リア王といえばシェイクスピアだ(すみません、私にも意味不明ですが戯曲風に全体をアレンジすることをシェイクスピアから発想した、との意ではないでしょうか)。BR> ニ番目はEntr'actesですが、はさまるべき幕(act)と幕がなければ幕間は存在し得ない、つまり第一幕、二幕と割り振っていった時、竹越刑事の手記、10章をその幕間にあてればよいのだ、という発想を得たこと、かと思われます。。。このアイデアはすごくいいですね! うれしいです。
 シカ

というようなバトルを経て、2ヶ月後の今日、この本の完成になった。表紙を見ていたら、こういうメイルでのやり取りが思い出された。
アトキン氏とのやり取りで、こちらも多くを学んだ。彼の出してくれたアイデア、またその際こちらが得た考えなどは、近い将来刊行する「改訂完全版・占星術殺人事件」の日本語に反映したいものと思っている。
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