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編集室の窓から
島田荘司のデジカメ日記
第197回
島田荘司のデジカメ日記
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2−26(木)。活字倶楽部インタヴュー。
雑草社の「活字倶楽部」という雑誌のインタヴューが決まっていた日、石塚桜子さんからメイルがあって、よろしければランチをご一緒しませんかという。ちょうどよい、桜子さんも活字倶楽部の人たちに紹介しようと思い、了承した。
桜子さんは、吉祥寺駅、三鷹駅周辺の、ランチがおいしいレストランをたくさん知っている。これまでにも、ずいぶんいろいろと教えてもらった。HANAKOなどの女性誌が、「おいしい吉祥寺」といった特集をしょっちゅうやっているらしい。日本を離れてあまり情報がないので、これは大変助かっている。
この日は三鷹市駅前の、オムライスがおいしい店を教えてもらった。三鷹市は、電車でたったのひと駅だから、移動するのは苦ではない。モールの中にあって、隣りはソファ、テーブルなどハイセンスな家具の売り場になっている。レストランが混んでいたら、こっちの店の展示品のソファに腰かけ、待っていてもよい。時にはこのソファまで、オムライスを運んでいって食べてもよいらしい。
店のすぐ表には板敷きの遊歩道があり、これが窓辺から見えてなかなか気持ちがよい。タイルを使ったテーブルといい、ひと抱えほどの植物をばさと挿した金属缶といい、インテリアの感覚も進んでいて、女性たちに人気だ。桜子さんの勧める通り、厚手のピザのように丸く造られたオムライスは、とてもおいしかった。わすかに脱東京という味覚もあり、南アジアのどこかの小都市で食べているような感覚が来た。
食事の後、せっかく三鷹市まで来たのだからと、そこからほど近い桜子さんの仕事場に寄った。お母さんが歓迎してくれて、お茶とケーキをご馳走になって、しばらく話した。
それから桜子さんと一緒に吉祥寺のルノアールに向かい、活字倶楽部の女性編集者さんたちと会った。石塚桜子さんを紹介することは、すでに彼女たちに伝えて了解を得てある。彼女たちもとても喜んでくれた。
活字倶楽部という雑誌には縁がある。もう10年も前になるのか、この雑誌が創刊された第1号に、ぼくは登場しているらしい。いや登場したこと自体はよく憶えているが、それが創刊号であったと聞かされて、ああそうだったのかと思い出した。
もともと彼女たちは、「ぱふ」という少女漫画情報誌の編集者たちであった。少女漫画の読者たちは、移行しやすい小説群というものを持っている。そこでこういう活字の分野もフォローしようと発想され、新雑誌が企画された。それが季刊誌、「活字倶楽部」である。つまり御手洗さん石岡君という人たちの読者の一部は、当時は少女漫画の読者でもあった。一部分は重なっていたのである。
そういう人たちは、もともとが少女漫画のファンだから、好きな小説の登場人物をさかんに漫画に描いた。つまりは、漫画に描きやすい主人公たちを好きになったのであろう。当時はパロディ漫画同人誌が華やかな時代で、雑誌「ばふ」こそはこういう時代の中心にいて、だから「ぱふ」には、御手洗さん、石岡君の少女漫画顔がさかんに載ることになった。
「ぱふ」の編集者さんたちに会うたび、その頃におつき合いができていた在野の漫画家さんたちも合流して、彼女たちを編集部に紹介することになった。今回は漫画家でなく、画家の石塚桜子さんになったわけだが。この当時紹介した藤井ゆかりさんといった人も、漫画家ではなくライターで、彼女は今も活字倶楽部でばりばり書いているという。
当時インタヴューに来てくれていた中心人物は、T井C秋さんという女性だったのだが、彼女からの打診メイルが最初だったので、当然彼女が来るものと思っていたら、もう世代交代になっていて、T井さんは発行人、若い新しい女性スタッフ3人組だった。
この人たちがまた可愛い、魅力的な3人組で、T井さんたちとの10年前のおつき合いを思い出した。T井さんの場合、常に2人組で行動していて、彼女たちも若くて可愛かったが、今度の3人組も彼女らに劣らない。時間が遡ったか、停まったような錯覚に陥った。この日のインタヴューの中心になっていたT端さん(腹書房のT橋さんと字面が似ているが、この場合はハタと読む)は、当時は1読者だったそうだ。それがこの編集部に入り、しかもぼくのインタヴューに来ようとは、当時は夢にも思っていなかった。T井さんは、このルノアールでぼくと会っている時、次の順番を待っていた他社の男性編集者に見初められ、結婚した。もう子供さんも大きいはずだ。吉祥寺ルノアールも、ずいぶんと人生ドラマを観てきている。
今回の活字倶楽部インタヴューは、「ミステリー、好きですか?」という特集企画のためで、ぼくのページでは、「透明人間の納屋」の著者サイン入りの本が当たることにもなっているらしい。そういうことならと、この本の表紙を描いてくれている桜子さんを伴ったのだ。
彼女たちも大変喜んでくれ、桜子さんのインタヴューもページに組み入れるという。それでまずは桜子さんのインタヴューになった。われわれの出遭いに関しては、この日記でも紹介しているが、そういうことをまた、この時ぼくの方から話した。インタヴューを終えると、退屈だろうから桜子さんには帰っていただいた。それからぼくのインタヴューになって、かなり長い時間話した。実はこの時、メイルですでに質問をもらっており、回答を書き入れて戻してもいたのだが、これを補足する質問をさらに、という趣向だった。かなりスペースを取れるようなので、話した内容のうちの、相当の部分が紹介されることになるであろう。そうなら、近年にないロング・インタヴューの記事になると思われた。
この時のぼくの話は活字倶楽部・春号で読んでもらうとして、インタヴューが終ったら、井の頭公園をぶらついて、T端さんのカメラの被写体となる。10年前は、T井さんたちともそうしたものだ。
T端さんは文もたち、才気があったが、写真の腕もまた大したものであることをのちに知った。さらに心おきなく撮影をするため(ルノアールは撮影は禁止である)、拙宅のバーに寄ってもらってさらに何枚か撮り足した。10年前、T井さんもここを訪れていて、その時彼女にもらった針金細工の象の置き物の前でも1枚撮った。T井さんもまた非常にセンスのよい女性で、この置き物は今も大変気に入っている。
この時、このコーナーの読者のため、こちらもまた、デジカメで3人を撮影させてもらった。
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