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島田荘司のデジカメ日記
第13回
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10―24(火)、ホームディーポ。
スーパーマーケットを紹介したついでにホームディーポも紹介しようか。これは要するに日曜大工センターのチェーン店。しかし一般向けではなく、完全にプロ向け。家を建てる大工さんも、あるいは修理のリペア・マンも、みんなここに来て材料を買う。日曜大工のパパもまた、いつしかここにきて、プロに混じってペンキなど買うようになった。
どうしてそういうことになったのかというと、これもまたカリフォルニアの土地の広さが関係していて、住民はみんな車で移動し、移動先には駐車場が完備している。無料の高速道路(フリーウェイ)ネットはすっかり完成しているし、朝夕を避ければここはさして渋滞しない。ホームディーポのフロアは、後楽園球場くらいに広くて品数は充実している、そして卸値だ、となれば棚板やランプを買いに、わざわざ品数少なく、しかも中間搾取のある小売店に行く人はいなくなる。少々遠くても、アマチュアもみんな車をとばしてホームディーポまで来てしまうのだ。
つまり土地の広さが道路網や駐車施設を完備させ、このインフラ整備が中間業者を消滅させてしまった。ついでに電車も殺した。それでなくてもプロがアマチュアを馬鹿にするという正しい習慣がない人情土地柄なので、各家庭みんながトラックを持ち、卸問屋に直接トラックで乗りつけてしまう。これが失業者を出す理由のひとつでもあり、日本人ほどプロが自分の仕事に誇りを持てない理由ともなる。
今やLAで一番格好よい自家用車は、後部座席付きのトラックである。こっちのトラックで、横腹になんとか工務店とか書いてあるものはまず見かけない。そういうのは超大型のトラックか、ヴァンである。若者は、トラックに大いにワックスをかけ、愛車として乗っている。横腹のへこんだセダンに乗っていても誰も何も言わないが、へこんだトラックに乗っていると街でやたらに声をかけられ、サー、それぼくに安く修理させてもらえないか、と言われる。
このマーケットにも、ラルフスで紹介したカートがある。しかしこの店ではこのカートでも小さいくらいで、何しろ店のフォークリフトとかEVが、材木を乗せて通路を走り廻っている。
品物はまったくたくさんあって、この店に来るだけで家が一軒立ってしまう。窓や風呂場のユニットから、ネジの一本まで売っている。街灯まで売っているから、ついでに家の前の道まで作れるであろう。
ここで感心することは、たとえば水道の蛇口を買ってかえって自宅の流しにつけてみて、サイズが違ったというような時、プラスティックのパッケージを破っていても文句ひとつ言わず、返品を受けてくれることだ。日本人の感覚ではとてもこうはいかないだろう。部落差別を生んだあの潔癖病、処女膜偏重のわが純潔道徳病などが顔を出し、傷ものの返品は道徳観をもって拒絶、こういう失敗のない者こそがプロの証ともされるであろう。
それにしても、広いというのは精神衛生上よいことだ。肩が触れた、足がひっかかった、自分がナメられている、あいつは儒教道徳上無礼だ、などといった例の日本型の無駄頭も使わないですむ。
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