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島田荘司のデジカメ日記
第114回
島田荘司のデジカメ日記
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3−3(日)、新サイト「Office Top Pigeon」の立ち上げミーティング。
ひな祭りの日、吉祥寺の居酒屋で、新サイト「Office Top Pigeon」の立ち上げのための初ミーティングを持った。これは東大精神医の岩波明さんが、秋好事件、およびその他の冤罪救済を考える、専用のサイト立ち上げを提案してくれたので、ぼくも大賛成したという経過だ。
その後OTPは、岩波さんやぼくのほか、HNで書くと、建築家でオペラ歌手の村ドンさん、一橋法学部学生の竹ぶんさん、東大法学部のあやのさん、同じく東大文学部の黒熊三角さん、建築家のミラージュさん、英語教師で翻訳家のPattyさん、デザイナーのイーディさん、などなどが集まってくれて、非常に充実した秋好事件、及び日本の冤罪事件のデータパンクが建設されていくことになる。今こうして書いてみてびっくりしたが、これは大した背景の人たちの集まりで、いずれ文化大革命でも起こせそうである。
メンバーの顔ぶれにふさわしく、その後OTPは冤罪問題の勉強会のようになっていき、SSKサイト・グループにあっては、最も文字データが充実した、資料庫のようなサイトになってきている。ミラージュさん制作の画像も見事なので、この種のものとしては数ある先輩格のサイトにも、決してひけを取らない充実したものになった。まだ公開はしていないが、内容に充分期待してもらってよいと思っている。
この日は、OTP建設に外郭的に協力してくれる人たちが大勢集まった。光文社カッパノベルス副編の、ご存知A井則充さん、考えてみたら彼も東大文学部で、黒熊さんの大先輩である。慶大法学部出身のロックンローラー、しゃくてぃさん、こちらもおなじみビートニクス山下弁護士、もと暴走族アタマ、南雲堂のN雲一範社長、その新社員のタック氏、画家の石塚桜子さん、そしてPCテクニカル・アドヴァイザーとして、やはり破壊的ロッカーのMatthewさんに007氏、とこういう、なかなか豪華な顔ぶれだった。これにむろん中心メンバーの岩波さん、ぼく、Pattyさんもいた。
さらに、この時はまだ建設中だったSSK新サイト、「第7銀河」の主要メンバーであるえいこさん、えびちゃん、siriusさんも列席して、2サイト合同のミーティングとなった。

岩波明先生が秋好支援に名乗りをあげてくれたのも、OTPを発案してくれたのも、秋好被告が一人しか殺していず、三人は共犯者が殺したという明白な状況証拠があるのにも関わらず、一度成した決定を覆すと権威のメンツに関わるといった、あまり高級とは思わえない理由から、司法が頑なになっていることに義憤を感じたせいだった。象牙の塔や官僚の世界にも似たことはあり、権威や既得権にあぐらをかいて、怠惰で非人情な定型仕事を繰り返す公務員組織は、その大半を解体してもよいのではないかと、彼は考えるにいたっている。
秋好事件の証拠の状況はその通りで、殺害行為当時に秋好被告が着用していたカッターシャツには、両袖にたっぷり、また背中側にも大量に、しぶきを伴わない大量血が付いている。特に両袖のものは、血溜まりにとっぷりと浸したような付き方になっていて、単独犯なら当然大量に見られるべきシャツ前面には、意外に血が少ない。共犯者とは言わないまでも、もう一人共犯的に立ちまわった人間がいなくては、被告のシャツにこのようなかたちで血が付かないことはあきらかである。
秋好氏が単独で四人を殺していったとするなら、まずはシャツ前面に、しぶきを伴う大量血が付く。両の袖、また背中に、大量の血が降りかかったり付着したりはないことではないが、その場合は、どう考えてもしぶきも付く。これがまったくないということは、血の付いた他所からの転写を考えなくてはならない。つまり、「しぶきを伴う大量の返り血を浴びたもう一人の人物と、もみ合ったり接触したりした」、ということになる。場合によってはこれは、秋好氏の着衣の一部を、とっぷりと浸すようなかたちにもなり得る。
そして人の血は、8分程度経過の時点で乾きはじめるから、以降の転写は血にかすれが多くなる。被告シャツの場合これがないのは、「もみ合い」が8分以内に起こっているという傍証だ。しかしこういう証拠の特徴は、従来の殺人事件にはあまりないことなので、職人型の定型処理が成されると、このような特殊さはおうおうにして見落とされる。彼らが着目するのは、前例に見られる特徴ばかりである。岩波さんのいう公務員的怠惰さというものが、これにあたる。
また秋好氏は、共犯者が着用していたTY化学(以前被告は、共犯者とともにこの会社で働き、上着の支給を受けている)支給の上着に大量に返り血が付いていたので、これを裂いて自分が近所の川に棄ててきてやったと述べ、これが虚言だと言う共犯者に向かっては、それならこの時のTY化学支給の上着を法廷に出すようにと迫った。共犯者ははたしてこれを出せなかった。にもかかわらず裁判所は、この重大な事実をあえて無視し、なんらの説明もしなかった。これもまた、子供が見ても解るおかしさである。
ちなみに、サイト名に採った「Top Pigeon」とは、この時に共犯者が法廷に出した偽の上着の胸に刺繍されていた英文字である。TY化学は、過去自社の従業員に、「Top Pigeon」と胸に刺繍した上着を支給した事実はないと明言した。しかし裁判所はこれも無視した。
この上着はどこから来たのか、登録商標の専門家である弁理士も加わって捜索したが、今日にいたるも出所は特定されていない。

このような証拠のありよう、特に血液痕に関するものは、今後専門家の再鑑定によって正当な評価を与え直し、法廷に再提出することが望ましい。しかしこの鑑定には大金がかかる。この金は、寄付でまかなう以外にないが、寄付は、行った人が自身の税金の控除対象とできなくては、まず多くを集めることは期待できない。税制上の優遇処理を取りつけるには、支援の団体が法人格のNPOとなる方法があるが、これは団体をまずNPO化し、さらにこれを法人格にまで引揚げる必要がある。これが、実際には有名無実というまでの高いハードルとなっている。そしてこのNPOの支援対象は、当然ながら秋好氏個人ではむずかしい。
しかしOTPは、ともかくスタートし、有能なスタップを集めていき、いずれはNPO化し、さらには法人格NPOを目指すというふうに、将来は修正するにせよ、今は高い夢を持つことにした。とてつもなくむずかしいが、可能性がゼロというわけではない。
日本には今、50数人の確定死刑囚がいる。その内の10人ほどが、殺人に関しては無実を叫んでいる。事実なら、人を殺していない者が、これから国家によってどんどん殺されるということだ。まずは彼らから救済すべきである。
日本から冤罪の死刑囚を一掃できれば、死刑の廃止に関する発言力も増すであろう。死廃をなし、この国の厳しい人情を柔らかくし、男女ともジョークの大半は嘲笑という徒弟型、封建型のわが伝統慣習は辞めて、楽しい人情の方向に社会を改善できるなら、10万人中25人強が自殺している現在世界一の自殺国家も、多少の改善はできるであろう。今ぼくが目ざしたいものはここだ。
日本は悪い国ではない。だが歪んだ、しかし国民にとっては議論無用に正しい道徳感によって、息苦しい監獄に似た国になっている。日本も北朝鮮も、人を殺してはいけないと叫んで無実の人を笑って殺す、こういう人を不幸にする道徳からは即刻脱却すべきだ。――と、そのようなことで、ビールで乾杯した。

それから、冤罪救済や、日本国変革の理想とはあんまり関係ないが、せっかくだからということで、近くのカラオケボックスに繰り込み、少なくとも2人いる破壊的なロッカーの叫び声を楽しんだ。Matthewさんは、これから子供が産まれて父親になるというのに、「リンダ・リンダ」を歌いながら、N雲さん、しゃくてぃ氏、A井氏、タック氏の膝の上に、気持ちよくダイブするのであった。
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