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島田荘司のデジカメ日記
第9回
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10−1(日)、ハニー・アルフセイン・ハナフィの作った寿司。
スター・ファラフェルは、ヴェンチュラ・ブールヴァードという大通りに面したターザナ市のモールに入っている。わが店のお隣は、「クシユウ」という最近人気の店で、これは串焼きとお寿司を食べさせる割合高級な日本料理店なのだが、ディナー・タイムともなると大盛況、店の前には順番を待つ白人たちが群れができる。駐車場内の彼方に止めた自分の車にも、三々五々もたれて待つ人が出る。アメリカ人は寿司が大好きだ。どうも今、こちらではファッションとなった観がある
一方わがスター・ファラフェルはというと閑古鳥で、お客さんなど一人もいない。戦場のごときお隣のクシユウのマスターが、一服入れにくる待合室と化してしまった。花の東京の銀座では、こういう時にはひまな飲み屋が待合室となって、それなりにお金を落としてもらえたりもするのだが、アメリカ人の場合食事はみんな自分の金なので、そういうことも起こらない。
これはターザナ市が、ジュイッシュ(ユダヤ人)の多い地区であるせいもある。ジュイッシュとアラブ人とは仲が良くない。エジプトとイスラエルは戦争もしていた。だからハニーはすっかり悲観して、アメリカ人はアラビックが嫌いだから、ぼくはトルコ人と日本人とのハーフということにする、と最近よく言う。そして、アラビア料理は駄目だから、寿司シェフになるのだと言いだした。今、サンタモニカにある夜間の寿司シェフ養成学校に通っている。
ここの先生は日本人で、授業は英語で行われる。生徒には、白人の女の子も何人かいるそうだ。日本では女の子は寿司を握れないが、アメリカでならOKだ。LAでは寿司シェフの需要はとても多く、学校が職場を紹介してもくれる。学校自体はあんまり儲かっているふうではなくて、こういう斡旋とか、学校に寿司屋が接続していて、こっちで稼いでいるのだという。
寿司屋さんをやったらきっとあたるだろうね、とぼくも無責任に言っているが、しかしハニーは、ヴァリー地区だけで二百五十軒もの寿司屋があるのだと言う。ヴェンチュラ・ブールヴァードだけでも何十軒もあるそうだ。東京みたいだねと言ったら、東京より多いよと言う。
ともかくそんなこんなで、最近看板時にスターファラフェルに行くと、ハニーは厨房内でしこしこと寿司を作っているようになった。この晩もまぐろのたたきを作りましたと言って、サーモンの刺身と一緒に食べさせてくれた。
棚作りを手伝ってくれたターリックが、今お隣のクシユウで働いているから、ご飯を持ってきてくれる。ここで食べる刺身と白いご飯はなかなかうまい。こうなったらいっそスター・ファラフェルを日本食の店に改装したいところだが、それは無理なのである。権利を購入した際に店種の規定があり、契約上途中で変更はできない。
ハニーは、お客さんが来ないし、メディテラニアン・フードにも飽きたらしくて、私の一番好きな料理は日本食です、などと言いだしている。嘘ではないようだが、困ったものだ。
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