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島田荘司のデジカメ日記
第4回
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9−11(月)、LA、サンタモニカの観覧車に乗る。
サンタモニカに観覧車に乗りにいく。前から、一度は乗ってみなくちゃと思っていたものだ。この観覧車は、スピルバーグの映画「1941」に出てきたが、ぼくも自分の作品の中に登場させている。でもまだ乗ったことがない。
近くのモール、サンタモニカ・プレイスの無料駐車場に車を止め、ぶらぶら歩いてサンタモニカ・ピアのゲートをくぐった。すこぶる上天気の日であった。
観覧車は、遊園地パシフィック・パークの中にあって、パシフィック・ホィールと名前が書かれている。目の前にすると、横浜の観覧車を見てきた者にはなんだか小さくて、子供向けという印象。一人2ドル、まるでからがらの貸切りで、何度も折れる長蛇の列だった横浜の大観覧車とはえらい違いだ。だいたい、こちらが乗るまで停まって待っている。
しかし、乗ってみればそういう人気度の相違くらいのことはある。横浜のものはずいぶんと大きく、したがって高度もあったが、こっちはそれほどでもない。でも横浜のものは一回転のみ、こっちは何回転もする。しかもがらがらのせいか、こちらの乗ったゴンドラが一番高い位置に来た時、しばらく停めてくれる。風の鳴る音を耳もとに聞きながら、しばし太平洋を眺めていることができる。
横浜のものは、行列している時、強制的に全員の写真を撮り、降りた時、出口に向かうルート沿いの壁に展示していた。こちらの意志などおかまいなしで、さあ買わないと永久にここに写真を晒してやるぞと脅迫の意気込みだ。さすがはせちがらいわが日本、搭乗の値段も、もう忘れたがけっこう高かった。
ゴンドラからゆったり眺める太平洋は、そういう日本暮らしのあくを洗い流す効果があるように感じられるのは、日本人としてはあんまり悲しいことだ。最近日本のポップスを聞いたら、背中を突き飛ばしたり、大声で追いたてたりする感じのリズムだったから、かなりびっくりした。自分が嫌われてもよいと宣言するあの勤勉さは、そろそろなんとかならないものであろうか。せめて遊興の時くらいは、気分をゆったりさせて欲しいものだ。
ここから見える太平洋側は、ピア先端のハンバーガー・ショップだけ、あとは陽光きらめく海、ただ海。この遥か彼方には、そういうわが日本島がまだあるはずだ。
つい先日、その日本の横浜にいて、やはり観覧車に乗り、太平洋を見ていた。咸臨丸展を観たあとだ。あの咸臨丸は、幕末の頃横浜を出て、今ぼくのいるこのすぐ近くまでやってきた。あの小さな船の、無謀とも見える航海の距離分を置いて、今ぼくは故郷を見ている。
先日はあっちからこっちを、今はこっちからあっちを。なんだか妙な気分だ。
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